サカイヒロト
コロナ闘病記 サマーキャンプなんてなかった
38℃だった。
時刻は午前8時。8月2日、サマーキャンプ2日目の朝である。
もう一度測ってみよう。体温計を脇に挟み、数十秒待つ。誤検知はよくあることだ。アラームが鳴る。
38℃。
スマホを取り出し、LINEを打つ。
「本日体調不良のため休みます」
レポート提出、遅くなってすみません。
サイトの管理・編集している人間がこの体たらく。
子供の頃からそうだった。夏休みに追いつけない。そもそも夏は苦手だ。今年の夏は、とくに。
予感はあった。前日も皆の話を聞きながらなんだかぼんやりとしていたし、その前日には参加していた公演が出演者の体調不良により延期となったばかりだった。
そんな状態で出歩くべきではないという御意見はまったくそのとおりなのですが、なんせこちらは熱に浮かされているのだ。正常な判断などできるはずがない。こうして状況は雪ダルマのごとく悪化していくのだな。
連絡を終えたその足で近所の薬局を尋ね回るがどこも抗原検査キットは売り切れ。pcr検査も近場では予約がとれない。
そうこうしている間にもどんどん体調は悪くなっていく。
ようやく手に入れたキットで検査してみる。結果は陽性。いやもう分かってるよ。
ようやく
結論から言うと、2週間に渡るサマーキャンプのほぼ全てを欠席してしまいました。本っ当に申し訳ございません。
サマーキャンプという呼称も僕が言い出したくせに。
『今回は記録係に徹します!ドキュメンタリーを作りましょう!」などと調子のいい事を言っていたくせに。
日程の半分くらいは寝たきりでキャンプのことを思い出しもしなかったし、残りの半分は送られてくる記録映像を見たりzoomを見たりしていただけだった。
せめて参加できなかった時間のことだけでも記録しておこうと思う。
それも2022年の、夏。
発熱外来の朝8時半からの電話受付が繋がりやしない。ようやく繋がったと思ったら「本日は予約いっぱいとなりました」。ほなどないせえっちゅうねん。いや医療従事者の方に落ち度はないのです。本当にご苦労さまです。しかしそれはそれとして医療崩壊は現実としてコロナ患者の前に立ちはだかるのであった。
現在の体温は40℃。体温が42℃を超えると脳の機能に損傷が生じ始めるらしい。
(続く)